2013年11月23日土曜日

人件費を外注にしても消費税の節税にはならない

人件費を外注にしても消費税の節税にはなりません。
このことを詳しく解説します。


 給与には消費税は転嫁出来ません。


一方、派遣会社に外注にした場合には課税仕入れとなり消費税の転嫁が出来ます。


「人件費を外注にしたら消費税の節税が出来る」
などと寝言を言う人がいます。
それが税理士だったりするから尚ビックリです。



確かに外注にすれば消費税転嫁が出来る分「期末の納税額」は減ります。


しかしながら、外注費を支払うときに消費税を既に支払っています。

ですから、トータルで支払う消費税はまったく同じです。
といいますか、そもそも事業者は消費税が通過するだけで負担しないのですから、損や得やはないのです。

具体的な数字の例で再度説明します。


年間売り上げ1億円、人件費3,000万円、その他経費7,000万円、利益0の会社の例を見てみましょう。


預かった仮受消費税500万円、その他経費には消費税を転嫁できて仮払い消費税350万円。
人件費は非課税仕入れなので消費税は転嫁しません。
よって、期末に消費税150万円を納税となります。

この会社が人件費を外注にすると、外注費3,000万円は課税仕入れなので消費税150万円を合わせて派遣会社に支払います。
ここで消費税150万円を先に支払っているのです。

期末には納税は確かに無くなりますが、得していますか?


トータルで消費税を500万円預かって500万円支払っているのは同じなのです。


むしろ、外注にすると先に支払うので金利を考えると損なのです。
お金は後から払ったほうが金利(運用益)分得ですからね。


原則の消費税制度においては、消費税の節税は一切できません。
消費税は事業者を通過しているだけで負担していないのですから、節税など考える必要すらないのです。


消費税の節税は、歪んだ制度である免税事業者制度や簡易課税業者制度からは生まれます。
これについてはまた別の機会に。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

消費税についてここまで疑問を持って考えた事も興味を持った事もなかったですから

知ると、なるほど!・・と思うしかないのですが。

それより久保さんが消費税についてここまで追究してる事に興味を持ちました。

頭の良い方は、一般人とはその辺りから違うのだろうな・・と思いました。

いつもブログで勉強させて頂いています。
ありがとうございます。