2014年4月1日火曜日

幻の資産


 国の借金が一千兆円を越えました。


一方、国民の金融資産が正味約一千兆円(資産1500兆円-住宅ローンなどの負債500兆円)あります。

これは、国民の金融資産(預貯金・保険・年金など)がすべて、国に間接的に借りられている状態を示しています。

本来ならば、この状態は新発日本国債の引き受け手がいない状態を指します。
金融機関にある国民のお金が既に国にすべて借り上げられて、すっからかんになっているはずだからです。


では何故、今年も来年も新たに国債を発行して、金融機関がそれを引き受けることが出来るのでしょうか?

それは、日銀が金融機関の保有する既発債をバンバン買い上げているからです。
こうすれば、銀行には常に新しい資金が流入し、新発債を購入出来ます。

これが量的緩和なのです。
日銀が政府から直接新発債を購入することは禁じられています。
しかしながら、日銀が銀行から既発債を買い上げて、そのお金で銀行が国から新発債を買うのは結局、間接的には同じことです。


多くの国民は日銀の量的緩和は2%のインフレ率達成のため、つまりはデフレ脱却という経済対策と信じておりますが、本当の目的はおそらくは違うでしょう。

そうです。量的緩和の目的は国債を発行するためなのです。


日銀は円(お金)を発行できます。
その日銀が既発国債を買い上げて、金融機関に円を回し、金融機関がその円で新発国債を買う。
これを永遠に繰り返せば、政府は永遠に国債を発行して資金調達が出来るという訳です。




何のことはない、国民という財布を使い果たした政府が、今度は日銀という財布を得たということなのです。


 量的緩和を続けていくと、円がどんどん過剰供給されて円の価値が暴落していく円安インフレとなります。

これは国民の金融資産が徐々に失われていくことを意味します。


量的緩和は景気上げと経済成長のためと信じこんでいた人々は、まさにおめでたいということになるでしょう。

このままでは、今有している預貯金や保険資産や年金資産は、円安と共にどんどん価値が低下して、いずれは幻の資産となってしまいます。


というよりも、今現在でも国民の個人金融資産などというものは本当は幻であり、実際には元からないものだったのかもしれません。
長くなったので続きは次回で。

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