2014年4月28日月曜日

黒字倒産はなぜ起きるのか?

会計上利益が十分に出ている黒字であるにも関わらず、企業は倒産することがあります。

黒字倒産はたいてい法人税などが支払えないことが原因で引き起こされますが、何故に黒字なのに税金が払えなくなるのでしょうか?


世界一と言われる日本の法人税ですが、さすがに税率100%を超えることはなく現在の実効税率は40%を切っています。
ですから、もし利益=収入-支出であれば40%税金を支払ってもまだ60%が手元に残ることになります。
一億円の利益ならば、四千万円の税金が支払えないなんてことはないはずなのです。


しかしながら、実際には、利益は収入-支出で求められるのではなく、収益(売上)-費用で算出されます。


そうなのです。
収入-支出という収支計算で手元に残るキャッシュフローと、収益(売上)-費用という損益計算で算出される会計上の利益には大きな「ズレ」が生じるのです。
(さらに、会計上の利益と法人税法上の所得にもズレはありますが大きくないのでここには触れないでおきます)

このズレのせいで、利益は上がっているのに手元にはキャッシュがまったくないという現象が起きます。


そのズレの主な原因は次の三つになります。

①収益≠収入
商品やサービスを売った時点で売上収益を計上しなければなりませんが、世の中のほとんどが掛け取引のため現金収入が入ってくるのはずいぶん後になることが多々あります。
一方、法人税等は決算日の二か月後までに「現金一括支払い」を要求されます。

売掛金が現金収入化する前に納税期が来た場合、先に税金を支払うことになるのです。


②仕入れ支出が全部費用になる訳ではない
仕入れた商品や製造した製品のうち、実際に売れた分だけが「売上原価」という費用になります。
つまり、期末に在庫として売れ残った分は資産計上しなけばならないので、現金資産以外が利益を構成してしまうことになるのです。


③固定資産の支出額が全部費用になる訳ではない
機械、工場、車などに要した支出は、その支出時に一括で費用処理されるのではなく、一旦資産計上して減価償却の手続きによって毎期少しづつ費用化していくことになります。

例えば、1,000万円で新車を購入した場合は6年の定率法償却率0.333を乗じた333万円が初年度に減価償却費として費用化できるだけです。
しかも、期首に買えば333万円を費用に出来ますが期中に買えば月数案分となり、期末に買った場合はその12分の1の27万円ほどしか費用に計上できません。

このように、過大な固定資産があると現金資産以外が利益を構成することとなり、税金が支払えなくなるのです。


ではどうすればいいのでしょうか?
「キャッシュフロー経営」をやればいいのです。

①確実かつ早い売掛金の回収を心掛ける。
②在庫を持たない経営をする。
③固定資産を極力減らす。
どうしても持たなければならない固定資産はクレジットやローンを活用して、費用計上額を現金支出が上回らないように工夫する。


新車を現金で買うような経営者は、キャッシュフロー経営がまったくわかっていないのです。






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