2014年4月6日日曜日

国外犯処罰規定

日本国民が海外で殺人を犯した場合、日本の法律で罰せられると思いますか?




この答えはイエスである。






では、日本国民が海外で賭博を行った場合、日本の法律で罰せられますか?




この答えはノーとなります。




この違いは何でしょうか?




基本的に日本の法律は属地主義の立場を取っていて、国内での行為に対して効力があります。


ところが、一部の法律には日本国民が海外で行った行為に対しても処罰規定が設けられています。
これを国外犯処罰規定と言います。




では、どんなものに規定があるかを見てみると、刑法においては殺人・傷害・放火・強姦などです。


一方、賭博禁止法には国外犯に対する規定がありません。






総じて考えてみると、世界中のどこにおいても道徳的・倫理的に犯罪となるようなものには国外犯処罰規定があり、日本では禁じられているが諸外国では禁じられていないものにはその規定がないと分析できます。






ですから、日本人がラスベガスやマカオでカジノに興じても日本の法律は適用されませんし、「済州島やウォーカーヒルで楽しもう」のようなツアーを企画開催しても問題はない訳です。


日本では拳銃の所持を認めていませんが、米国では認められていますのでここにも国外犯規定はなく、グアムなどで実弾射撃に興じても問題はありません。








では、日本国民が海外の生命保険や損害保険に加入することはどうでしょうか?


保険業法186条では、これを禁じていますので、日本国内において海外の保険に加入することはこの法律に抵触します。


ところが保険業法においては第331条の2で国外犯について規定されており、186条は対象外です。


第331条の2(国外犯)

第322条から第324条まで、第326条第327条第328条第1項第329条第1項及び前条第1項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
2.
第328条第2項第329条第2項及び前条第2項から第4項までの罪は、刑法第2条の例に従う。

ですから、保険業法186条に関しては国外犯処罰規定はそもそもないので、海外に渡航しての保険加入はこの法律の規制を受けないのです。


国外犯処罰規定、調べるとなかなか興味深いものでした。

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