2014年7月25日金曜日

現物と証券の区別

 近頃は何でも証券化が進んでいます。
不動産投資信託、太陽光ファンド、金ETFなど。

では、これから購入しようというものが「現物資産への投資」なのか、「証券の買い付け」なのかはどう区別すればいいのでしょうか?

最も簡単なのは、消費税が掛かるか否かで区別をすることでしょう。

現物資産への投資は、モノの購入取引になるので課税取引であり、消費税が取られます。
(土地の取引を除く)
太陽光発電設備や金の現物を購入した時(純金積み立ても含む)は課税取引です。


 一方、証券化された商品への投資は非課税取引ですので消費税は取られません。
太陽光ファンドや金ETFなどへの投資は非課税となります。


このように、日本には消費税があるので、現物投資と証券投資が厳密に区別できるのです。
消費税にもいいところがありますね。


現物商品への投資と、証券化された商品への投資では、準拠法が異なりますのでこの区別が簡単にできるのは有り難いものです。

2014年7月11日金曜日

個人型確定拠出年金⑤

資産運用の基本は、資産を殖やすことよりも保全することにあります。

そのためには、様々なカテゴリーに分散して分散ポートフォリオを構築する必要がある。


生卵を一つの籠に盛って、籠を落とせばすべてが割れる。
しかしながら、沢山の籠に分散しておけば一つの籠が落ちても他が守られる。


そして、分散ポートフォリオを組んでおけば、長い目で考えれば資産価値の増大を見込むことが出来ます。

世界経済の成長が反映されるからです。


日本の人口は減りますが、世界の人口はまだまだ増えます。

人口が増えれば、食料・衣類・住宅・自動車などの消費が増えて経済は成長します。


特に、新興国の人口増加・経済成長は世界平均を上回ることが期待できます。

ですから、新興国株式を中心に分散ポートフォリオを組んでおけば、資産を長期的に殖やすことが可能となるのです。


資産を様々なカテゴリーに分散するのに便利な金融商品がファンド(投資信託)です。


ファンドを組み合わせてポートフォリオを組めば、少額な資金でも分散ポートフォリオ運用が可能となります。


ファンド積み立てというのは証券会社等で行われていますが、個人型確定拠出年金という制度を利用する利点がいくつかあります


①積み立て資金が全額所得控除となる。


②全体の積み立て資金を一定にして、パーセンテージでポートフォリオを組めて、そのパーセンテージをいつでも変更できる。


③ポートフォリオのパーセンテージ変更すなわち組み替え(スイッチング)は、従来のファンドの全部または一部を売却することになるのだが、そこに課税されない。

確定拠出年金以外の仕組みでポートフォリオの組み替えをすると、その度に確定利益に20%課税されてしまうので運用効率が落ちます。


長期的に積み立て資金を運用して大きな資産形成を目指すならば、途中の運用益に一切課税されない制度は非常に有利であり、複利効果が期待できるのです。

2014年7月8日火曜日

個人型確定拠出年金④

目の前に100万円があるとして、この100万円の資産価値を保全する方法はあります。


分かりやすく、一つ一つを見ていきましょう。


全部をドルに替えると、円安ドル高になれば殖えるが円高ドル安になれば減ります。
逆に全く替えなければ、円安になれば目減りします。

では、半分の50万円をドルに替えればどうでしょうか?

これならば、円安円高どちらに振れても合計の資産価値を維持できます。


これは対ドルだけでなく、すべての通貨に同じことが言えますので、円を含むすべての通貨に分散するというのが正解です。

為替レートは相対価値なので、すべての通貨が同時に上がったり下がったりはありませんので合計価値が保全できます。


さらに、お金の物や株価指数などに対しての相対価値も考えなければなりません。

100万円の半分を金に替えれば金に対しての相対価値は維持できます。

これは、不動産や株式に関しても同じことです。


結論はこうです。
100万円をあらゆる通貨と物と株式などに分散しておけば、どれかが下がればどれかが上がるので合計価値は保全できる。


これが、分散ポートフォリオ理論「生卵を一つのカゴに盛るな」というものです。

個人型確定拠出年金③

一昨年の秋まで円高が続きました。


円高というのは、円の価値が高くなるいうことなので、物価が下がるデフレとなり円資産は膨らみました。

ところが、野田政権崩壊からは円安が進行しました。
1$=75円から105円に最大約4割も円安になりました。

1$=75円の時は、100万円の資産価値は13,333$もありました。

それが、1$=100円になったことで、同じ100万円が10,000$の資産価値に下がったことになります。


これが日本人が一番わかっていない所なのです。


1$=75円の時にドルに替えとけば三割以上も儲かったのに。
という外貨を持つリターンについては殆どの日本人が理解を示します。


しかしながら、1$=75円の時に外貨に替えなかったから三割以上も損をした。
という外貨を持たないリスクをわからないのです。


外貨を持って、円安になれば殖える(リターンを得る)。
円高で目減りするのが、外貨を持つ為替リスク。


一方、外貨を持たずに円高になれば円資産は膨らむ(リターン)。
円安になれば目減りするのが、外貨を持たない為替リスク。


外貨を持つ為替リスクは分かっていても、外貨を持たない為替リスクを理解していないのが日本人という島国人種の特徴なのです。


日本人は、円がすべてであり、世界が日本を中心に回っているという天動説のような感覚が何処かにあるからなのでしょう。


話が脱線しましたので元に戻します。

目の前に100万円があるとします。
この100万円の資産価値を減らさない(=資産保全)ためにはどうすればいいでしょうか?


全部ドルに替える?
そんなことをして、万が一ドル安になればどうなりますか?


続きはまた次回。

2014年7月6日日曜日

個人型確定拠出年金②

確定拠出年金は、運営管理機関が提供する様々な運用商品を加入者自らが選択して運用します。

将来受け取れる年金額(または一時金額)は、運用成果次第で変化します。
毎月の掛け金拠出額は確定しているが、将来の給付額は確定していません。
これが、確定拠出年金の名前の由来です。


もちろん、運用商品の中から定期預金のみを選択(運用しないという選択)をすれば、給付額を確定されることは可能です。

毎年の掛け金の最低15%は節税になる。という効果があるのでこれでもいいという考え方もあります。


しかしながら、定期預金で確保されるのは「名目元本」に過ぎません。
これからも日本が金融緩和を続けていくならば、円の価値は徐々に下がっていくことになります。
ですから、運用はインフレヘッジ目的の意味でもしておいたほうがいいのです。


資産運用の目的は、実は次の二つあるのです。
①資産価値を保全するため
②資産を殖やすため



日本は、バブル崩壊からクロダミクスが始まるまで実に二十数年間もの長きに渡りデフレが続きました。
物価、地価、株価、家賃などがすべて年々下落するという異常事態がこんなに長く放置されたのです。

デフレは相対的にお金の価値が上がることです。
ですから、インフレによってお金の価値が下がるということがイメージできない日本人が多いのだと思いますが、こんな国は世界の歴史上日本しかない!
ということにいい加減気づくべきなのです。


100万円というお金の価値は、額面で判断されるものではありません。
100万円で、何がどれだけ買えて、どれだけのサービスを受けることができるか?
それが、100万円の価値です。

1990年の頃よりも、モノとサービスが安くなった分、100万円の価値は今のほうが大きくなっています。

しかしながら、今後はデフレは続かない。
国策でインフレ政策をする以上は必ずインフレに振れるでしょう。


ガソリン1リッターが300円になり、家賃が今の倍になった時には、100万円の価値は半分になっています。

ですから、資産価値を保全するためには、資産運用を「しなければならない」のです。

この辺りは、セミナーでも詳しく訴えて行こうと思います。


2014年7月5日土曜日

個人型確定拠出年金

加入者自らが掛け金を拠出するのが個人型確定拠出年金です。

自営業者および企業年金のない企業に従事する従業員役員が加入できます。

自営業者(第一号被保険者)は、掛け金を最大68,000円/月まで拠出出来ます。(最低掛け金は5,000円/月)


掛け金は全額所得控除となり、所得税住民税の対象外になりますので、最大掛けると年間掛け金816,000円が所得控除できます。
所得税率20%の人が掛けるとすると、住民税率は10%ですので合計税率30%となり、なんと年間244,800円の合法的節税となります!

しかもこれは毎年ですので、この人にとっては毎年掛け金が30%の利回りで運用益を発生してくれる効果を得ることとなります。(利回りはその人の税率によって異なります)


企業年金のない企業にお勤めの会社員および会社役員は、掛け金を最大23,000円/月まで拠出できます。(最低掛け金は5,000円/月)

所得税率が最低の5%の人が掛けても、住民税を合わせた税率は15%ですので、年間掛け金の15%は節税できることとなります。

これが、個人型確定拠出年金が「最低15%の確定利回りで運用できる年金」と言われる論拠です。


個人型確定拠出年金は、このように節税効果による運用益が得られるので、運用をしなくても(運用商品に定期預金を選択しても)メリットがあります。

しかしながら、これからの「¥」の価値などを考えても運用はしておいたほうがベターなのですが、これに関してはまた次回。

確定拠出年金③

確定拠出年金には、公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)にはない決定的に優れた所があります。

それは、加入者個人に「財産権がある」ということです。


これは意外に知られていないのですが、完全官制の公的年金は賦課方式であるため、加入者に財産権はありません。
自分の今まで掛けてきた年金資産が自分のものだと主張できないのです。


それに対して、確定拠出年金はあくまで民間企業が扱うものですので、加入者の年金資産は加入者一人一人に帰属します。
保険会社が扱う個人年金とここはまったく同じなのです。


一方、確定拠出年金で積み立てた年金資産は用途が老後資産に限定されることが制度的に担保されているため、万が一加入者が自己破産しても差し押さえられることもありません。
(保険会社の個人年金は差し押さえの対象です)


まさに、半官半民万歳と言ったところですね。



確定拠出年金は確定拠出年金法が準拠法です。
そのため、運用商品に投資信託(ファンド)があっても金融商品取引法ではなく確定拠出年金法が適用され、監督官庁も「厚生労働省」となります。



確定拠出年金は、企業が掛け金を拠出する企業型確定拠出年金と、加入者本人が掛け金を拠出する個人型確定拠出年金に大別されます。

次回からは、個人型確定拠出年金を掘り下げて見ていきましょう。



確定拠出年金②

確定拠出年金は、公的年金を補完する目的で国が定めた年金制度です。

国が定めた年金制度ですが、国民年金や厚生年金のように国の機関に掛け金を払い込むのではなく、窓口は金融機関などの運営管理機関つまりは民間企業となります。

このように、確定拠出年金はいわば半官・半民と言える年金制度なのです。
完全民間商品とは異なり公的年金と同じ税制優遇があり、公的年金とは異なり自由参加制である。


窓口(直接掛け金を払い込む先)である運営管理機関が民間企業のため、「そこが潰れたらどうなるのですか?」という質問をする人がいますが、答えは「どうもなりませんよ!」です。

運営管理機関に払い込まれた掛け金は、直ちに信託銀行(カストディアンバンク)に着金してそこが加入者の年金資産管理をします。

運営管理機関は通過するだけでそこに加入者の資金は滞留しませんので、運営管理機関の経営状況の影響を受けることはありません。
万が一、そこが倒産した場合には別の運営管理機関が用意されます。


では、資産管理をする信託銀行が倒産したら?
加入者の資金は、加入者が選択した定期預金・投資信託(ファンド)に投資されています。
信託銀行は、運営管理機関が提供したこれらの運用商品に正しく投資されているかを管理するだけで、信託銀行に資金が滞留する訳ではないのです。
ですから、万が一信託銀行が倒産したら、代わりの信託銀行があてがわれるだけで加入者の年金資産の時価総額には影響しません。


このように、運営管理機関も信託銀行も通過するだけです。
加入者の年金資産は、最終的な投資先である運用商品の影響のみを受けるのです。

もちろん、運用商品にA銀行の定期預金を選択した場合、A銀行が破綻するとペイオフの影響は受けます。(1,000万円以内は全額保護)
投資信託(ファンド)を選択した場合には、その基準価額が上がれば加入者の年金資産は殖えるし、下がれば減ります。



それから、確定拠出年金が公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)よりも決定的に優れている点があります。
これについてはまた次回。


2014年7月3日木曜日

確定拠出年金

確定拠出年金には大きく分けて二つがあります。

ひとつは企業型確定拠出年金です。
企業が掛け金を拠出するという方法です。

掛け金は、社会保険料・所得税・住民税の対象になりません。
現行の給与額の中から従業員が任意で掛け金を選択し、企業が給与支払い前に掛け金を拠出するという「選択制」という仕組みを使うと、企業も従業員もウインウインになります。

企業にとっては、従来の給与額=掛け金+新しい給与額、となるので新たな掛け金負担がありません。
それどころか、掛け金は給与の算定基準から外れるので社会保険料の企業負担分が減額されてその分会社の利益がアップします。

一方、従業員にとっては社会保険料に加えて所得税住民税の軽減も図れます。

このように、企業も従業員も共に得できるのが企業型確定拠出年金を「選択制」で導入することなのです。


もう一つは、個人型確定拠出年金です。
これは、自営業者または企業年金のないサラリーマンに用意されたしくみです。

掛け金は全額所得控除となり、その分だけ所得税住民税が軽減されます。
所得税の最低税率は5%で住民税は一律10%ですので、年間の掛け金の15%は最低でも税金が下がることとなります。

しかも、毎年その効果を享受できますので、毎年確定利回り15%で運用しているのと同じ効果が得られるのです。



また、確定拠出年金(企業型個人型共に)は、運用中の運用益に一切課税されずに複利効果が得られます。

さらに、老後の受け取り時にも税制優遇がなされています。


まさに、日本の中のオフショア=タックスヘンブンと言えます。


選択制を企業に導入することに加えて、今後は個人型の普及にも力を注ぎたいと考えています。