2015年11月21日土曜日

詐欺以外で利回り数十%を追求出来る方法

あなたが現金1千万円を運用したいと考えているとしましょう。                                                                            「〇〇に投資したら毎月2%の配当が貰えますよ!」という悪魔の囁きに引っ掛からないでください。                                                      銀行などの金融機関以外にお金を預けて、月に数%(年に数十%)の配当がありますという話は100%投資詐欺と見て間違いありません。                                                                                                                                                 では、手元のお金を年間数十%の利回りで運用するのは、絶対に不可能なのでしょうか。                                                            日本は(というよりも先進国は)、超低金利ですから利息収入はまず期待できません。                                                              反面、超低金利だからこそ借入金の返済利息も微々たるものです。この超低金利を活用すれば、高利回り運用は可能となります。                                                                                                                                                       詳しく説明しましょう。                                                                                                      賃貸アパートやマンションなどの収益不動産の家賃利回りは、現在高くても8%程度です。                                                           地方の小さいアパートなどを現金1千万円で購入すれば、家賃は年間80万円ほど得られることになります。                                                投下した自己資本は1千万円で、得た年間利益は80万円ですから、自己資本利益率ROE(リターンオンエクイティ)は、80万円÷1千万円×100=8%。                    これでは、とても利回り(自己資本利益率)が月に数%や年に数十%にはなりません。                                                                                                                                                                                   そこで、資本効率を上げるために自己資本を膨らませる運用が必要になります。(自己資本にレバレッジをかけるという)                                         自己資本1千万円を頭金にして、銀行から9千万円を借り入れて1億円の賃貸マンションを購入することを考えてみましょう。 (10倍レバレッジをかけた運用)                  家賃利回りが8%とすると、年間家賃収入は800万円で月に直すと67万円ほどになります。                                                                                                                                                                              一方、9千万円を年利2.8%30年間元利均等返済という条件で借りていたとしましょう。                                                            月々の元利金支払い額は37万円ほどとなります。そうすると月の手取り額は、67万円-37万円=30万円となります。(キャッシュフロー30万円/月)                     投下した自己資本1千万円が月に30万円のキャッシュフローを生むので、月に3%の運用ができているということになります。                                     年間で考えると、1千万円が360万円の利益を生むので、利回り(年間自己資本利益率)はなんと、36%ということになります。                                                                                                                                                         このように、超低金利を利用した不動産投資が、手元にある自己資金を年間数十%で運用できる唯一の方法なのです。

2015年11月3日火曜日

最新の投資詐欺の「エグイ」手口

投資詐欺には一定の型があることを前述しました。                                                                                    投資家から一括でまとまったお金を預かる。                                                                                        それをFX、日経225などで運用した利益から、毎月投資家には配当し、エージェントと呼ばれる代理店にはマージンを支払う。                                      代理店から勧誘された投資家は、運用を行う胴元に直接お金を振り込むという完全斡旋型が従来の投資詐欺の主流でした。                                      古くはオールイン、121ファンド、スピーシーアービトラージなどこの型の典型です。                                                                 胴元は運用益から(本当は運用などしていませんから、実際には新規の投資家のお金から)一次代理店に月8%の権利を与える。                                   一次代理店はそこから3%抜いて5%の権利を二次代理店に卸す。                                                                         二次代理店はまた3%抜いて2%の配当権利を投資家に渡す。                                                                            そして、このマージンの仕組みも完全斡旋型になっておりました。                                                                           投資家には月2%の配当が直接胴元から支払われ、一次代理店及び二次代理店には差額マージンが月3%直接胴元から支払われていました。                         このような完全斡旋型の投資詐欺の場合、投資家は直接胴元にお金を預けていますので、破綻した場合の矛先は胴元に一極集中します。                             代理店はあくまでも斡旋や紹介をしただけで、お金のやりとりを投資家とはしていませんでした。                                                        そのため、胴元だけが責任を取らされてきたのです。                                                                                   詐欺師(胴元)たちは、これでは割りが合わないと考えたのでしょう。                                                                          最新の投資詐欺においては、お金の流れを一新し、胴元が責任を負わされず、末端の代理店に責任を集中して押し付けるというシステムにしたようです。                    まず、二次代理店に自社社債を発行させて投資家からお金を集めさせる。                                                                     二次代理店がそうして集めたお金を一次代理店に預けさせる。                                                                            そして一次代理店は胴元に預ける。                                                                                              マージンも、胴元は一次代理店に支払う。一次代理店は二次代理店に支払う。                                                                   そして二次代理店が投資家に配当(社債のため実際は利払い)を行う。                                                                        いかがでしょうか?                                                                                                        この進化した投資詐欺の手口においては、投資家はあくまでも二次代理店の社債を購入した訳で、破綻した場合の矛先は当然ながら二次代理店に向かいます。               胴元はあくまでも一次代理店としか取引をしていませんから、投資家から訴えられるリスクがありません。                                                  二次代理店がお金を預けたのは一次代理店ですから、二次代理店は胴元を詰めることも出来ません。                                                    胴元は、従来の完全斡旋型のまったく逆で、最も安全な立場になっているのです。                                                                 この新しい手口においては、社債を発行して投資家からお金を集めた二次代理店が一極集中でババを掴まされたことになります。                                   投資家から訴えられるのは二次代理店。                                                                                          また、形式上は少人数私募債でお金を集めていますが、実態は運用資金を集めておりファンドの募集ですから無登録第2種金融商品取引業ということに問われかねません。        最新の投資詐欺の胴元はエグいですね。すごい悪知恵です。

2015年10月27日火曜日

そんな運用を本当にできるならば、金なんか集める必要はない

121ファンド、スピーシーアービトラージ、みずほ銀行行員詐欺、M国金ファンドなどなど、投資詐欺には一定の型があります。


まず、エージェントと呼ばれる代理店が暗躍し、客のまとまった金(数百万円から億単位まで)を胴元に預けさせる。

客には毎月2%程度の配当があると説明されている。
そして、エージェントはその客の上に乗っかっており、毎月数%のマージンを貰えるようだ。

エージェント組織は多段階になっており、胴元に繋がる根っこエージェントには月に8%程度の権利が与えられ、そこからマージンを抜いて傘下のエージェントに権利が渡されて、末端の客には2%程度の配当権利が卸されるという仕組みらしい。


胴元がエージェント組織に毎月8%のマージン(及び配当)を出すためには、少なくとも月に10%以上では運用しなければならない。(胴元も利益を得るため,あるいは経費が掛かるため)

毎月10%の運用益を出せる天才トレーダーや画期的運用法などは存在しないとよく説明するのだが、それでもわからないアホがまだいるようなので、今回は別の観点で一刀両断しておきたい。


もしあなたが、本当に月に10%の運用益を安定的に出せる天才トレーダーになったらどうしますか

そのうちの8割を他人にあげなければならないのに、金集めをしますか?

それとも、何とか種銭を作ってその自己資本をひたすら運用しますか?

 自己資本をひたすら月に10%で運用したら、5年後には何倍になっていると思いますか?


 自己資本を月に10%で運用すると、一月後には1.1倍になっています。

そして、その次の月は1.1倍になった種銭を運用できます。(自分の金やから、誰にも配当しなくていいですからね)

そうすると、二ヶ月後には1.21倍になっています。
これが複利運用というものです。

1.1倍の1.1倍は1.21倍。
その1.1倍は1.331倍。
そのまた1.1倍は1.4641倍というように資金は雪だるま式に殖えていきます。

1年後には3.318倍に。
2年後には9.849倍になっています。
3年後に30.91倍になり、4年後には97.01になります。
そしてなんと!5年後には304.48倍にもなるのです。


最初の種銭(自己資本)が100万円でも3億円に、一千万円ならば30億円に、1億円ならば300億円になるのですよ。


本当に月に10%で安定的に運用出来るならば、金集めをする必要など全くないことが、こうして計算するとよくわかるでしょう。


金集めをすること自体が、本当はそんな運用が出来ないことの何よりの証拠なのです。

2015年9月10日木曜日

税金と思って支払ったものが国庫に届かない制度は異常②

以前にも書いたが、消費税が国庫に届かない制度の改訂を強く願います。

消費税率のアップ反対よりも、この理不尽な制度の改訂をすることのほうがよっぽど重要なのですが、国民の99.9%が気づいていないと思われます。

国内取引において、消費税の納税義務者は「課税事業者」に限定されています。
逆の言い方をすると、免税事業者と消費者は他人から預かった消費税を納税する義務が免除されているのです。

この制度のせいで、あなたが消費税として支払ったお金が国庫に届かないことが結構生じることとなります。

例えば、免税事業者からあなたが何かの商品を買ったとします。
うちは免税事業者だから消費税を預かりませんとわざわざ断る業者は皆無ですので、当然のように消費税を預かります。
免税事業者は納税義務がないので、あなたが税金と思って支払ったお金は国に納税されずにその業者の利益に化けるのです。


また、課税事業者からモノやサービスを買っても、消費税が国庫に届かないこともあります。
中古車をあなたが課税事業者の車屋から300万円で購入したとしましょう。
24万円の消費税を、高いなと思いつつも税金だからしょうがないと思いあなたは支払います。

その中古車を270万円で仕入れていたとしましょう。
仕入れに係る消費税は21万6千円で、これは仕入れ税額控除の対象となり、差額の2万4千円をその車屋は納税します。

その仕入れを課税事業者からしていれば、転嫁された消費税はそこの納税義務となるのでいいのですが、消費者から買い取っていた場合はどうでしょうか?
(消費者が車を売却する際には、税込み価格(この場合291万6千円)で買い取られるため、消費税を預かるという自覚はないと思いますが、実際には間違いなく預かっているのです)

消費税を預かった消費者には納税義務がないため、あなたが消費税と思って支払った24万円のほとんどが国庫に届かないのです。


このように、課税事業者のみが納税義務のある今の制度では、消費税が税金として国に収められない例が数え切れなくあります。

このことを知ったら、消費税を預かったすべての者に、納税義務があるようにしないとならないと感じるのは私だけでしょうか?


税金と思って支払ったものが国庫に届かない制度は異常

10月施行の消費税改正は、悪法極まれりと感じています。

どのような改正(改悪)かをまず説明しましょう。
国境を越えた役務の提供の国内取引判定は、今までは役務の提供をする者が国内かどうかにより判定していました。

ですから、国外の事業者から画像・映像・音声などをダウンロードするサービスは国外取引として消費税の課税対象外でした。

今回の改正は、国境を越えた役務の提供のうち、電気通信利用役務の提供(インターネットを介した音楽配信など)における国内取引判定を、役務の提供を受ける者が国内かどうかに変えたのです。

このことにより、10月以後は、国外業者から画像・映像・音声などをダウンロードするサービスは国内取引となり、消費税の課税対象になります。

これは、国内事業者との公平性の観点から行われたのでしょうが、これには大きな問題があります。

それは、サービスを使った消費者が消費税として支払うお金が税金として国庫に届かないことが予測されるからです。
国外事業者が預かった消費税を日本に納税するとは思えないのに加えて、国外事業者は基準期間(二期前)の課税売上高が1千万円以下であるため、そもそも約二年間は納税義務がないのです。

またひとつ、税金だからしょうがないと思って消費者が支払うお金が、税金として国庫には届かずに業者の利益に化けるという制度を作り出してしまうのは不合理に思えて仕方ありません。

こういう時は動かないに限る

台風18号は去りましたが、市場の台風はまだ収まらないようです。

日経平均が1日に500円も千円も動くような、まさに賭場と化しています。
短期の値幅取りをもくろむような投資家には面白いかもしれませんが、私のような長期投資家は買いも売りも行わない静観を決め込んでいます。

早く、通常の値幅に戻ることを待っています。

2015年8月27日木曜日

上がれば下がり、下がれば上がる

先週からの世界の株式市場の急落とそれに伴う円高ドル安も、ようやく落ち着き始めたようだ。

きっかけは、中国株の急落からだが、暴落したと言われる中国株はまだまだ昨年同時期よりは高い。

 この一年間で2,000が5,000と、実に2.5倍にも上がっていたのです。

また、日経平均も今年に入ってから17,000円→20,800円と22%も上がっていました。


短期的に上がり過ぎると調整が入るのは当然で、私は今回の下落は2013年の5月と同様に調整の範囲内と見ています

また、あれからかなり経っていたので、市場参加者は急落の怖さを忘れていたというのが上がり過ぎの原因でしょう。

急落の怖さを忘れずにいれば、ある程度上がれば利益確定をし、また休むという行動となります。

ところが、この1年間ぐらいは、利益確定をしないか、してもまたすぐに再投資する投資家が多かったことでしょう。
それどころか、買い増しをしていた投資家もかなりいたはずです。



 株式市場が上がり過ぎの感があったため、買いそびれていた投資家などがすでに新規の買い手となり、株価は回復基調に戻っています

今後はまた上昇していくと予想していますが、しばらくは上がり過ぎとはならないでしょう。

急落の怖さを忘れることなく、誰もが高値追いをしないからです。


また、今回の調整により、米国の利上げが先送りされることが予測され、円安ドル高になりにくいのもその要因です。

最も、黒田バズーカ第三弾が火を吹いたら話は別です。
そして、その日は近いように感じています。

2015年7月1日水曜日

なぜ、こんな表示がまかり通るのか?

この前、ある大手銀行の前にあったポスターに目を引かれた。
そこには、米ドル定期預金1か月もの金利8.0%と大きく書かれていた。

これを見たら、1万ドル預けたら、1年後には月複利だから10,800ドルを超えるのだろうなと普通は思うだろう。

ところが、その下にある細かい文字を読むと、この8%のキャンペーン金利は最初の一か月間だけ適用され、翌月からは通常金利0.1%が適用されますと書いてありました。

これ、平均金利を求めると、(8%×1+0.1%×11)÷12≒0.76%となります。
月複利になるので多少の誤差はありますが、1万ドル預けたら1年後は10,076ドルにしかなりません。

ぱっと見た利回りは8%で、よく読んだ利回りは1%未満。
これ、円をドル転して預けたら、おそらく為替手数料負けしますね。

よくこんな表示がまかり通るものだ。

しばらくはアメリカの一人勝ちか

為替レートはドル円だけ見るのでは、円安なのかドル高なのかが分かりにくい。

日銀黒田砲第二弾が火を噴いた昨秋は、間違いなく円安が進行しました。
5月から6月にかけては、米国の利上げ期待に伴うドル高であって円安ではありません。
他の通貨は、円に対して上がっていませんので、ドルの独歩高です。

今後、アメリカが利上げすると益々その傾向が強くなるでしょう。

この利上げによるドル高、アメリカの一人勝ちを予測して、私は保有する投資信託の銘柄を大幅に入れ替え始めています。

まず、通貨オプションの付いている投信の大半は解約しました。
これは高金利通貨と米ドルとの金利差をとる仕組みでこれまでは米ドルがゼロ金利でしたから良かったのですが、米ドル金利が上がれば金利差の旨みがなくなります。

また、海外リート(不動産投資信託)は借入金でレバレッジをかけて運用するため、金利上昇はマイナス要因となります。
米ドルベースでのリート価格は下落していくでしょう。(ドル高により円換算額はそんなに落ちないかもしれない)

利上げによる悪影響を受けず、リートに近い利回りを追求できるのは、米国ハイイールドファンドと考えて、この持ち比率を大幅に上げました。

この方法が集団投資スキームにならない特殊な国、日本

三菱マテリアルで純金積立をもう20年もやっています。

日本における純金積立は、多くの契約者から純金積立管理会社に集まったお金でまとまった金地金を買いつけて、それを契約者の積立額に応じて案分するという仕組みです。

契約者が個々に、金を買いつけるのではないので、その契約者の保有する金がどれかということが特定されずに、全体に対する持ち分となります。

通常、この方法は現物取引とみなされず、集団投資スキーム(投資信託)となります。
不動産や太陽光発電所などで、これをやると間違いなくそうなるでしょう。

ところが、金だけはどうも話は別のようです。
昔、大蔵省と経済産業省とで金の管轄を取り合って、経産省管轄となった経緯から、このような方法をとっても金融庁は関知せずということのようです。

ですから、全体で購入して持ち分を割り振るというファンドの方式での純金積立が、現物取引として金融商品取引業者以外が堂々と行えるのです。
積立時に消費税が掛かる課税取引であることからも、現物取引であることに間違いはありません。(ファンドなどの有価証券ならば、非課税となります)

この方法は、極めて少額から積立ができるというメリットがあります。

例えば1グラム5,000円で、月に3,000円分の金を購入すると、1.666666グラムの割り当てになります。
全体で大きな金地金を購入して持ち分を割り当てているからこんな端数を保有できるのです。
そもそも、日本において購入できる最小の地金は5グラム(約25,000円)ですので、個別買い付け方式だと、月々3,000円の人は9か月目にしてやっと金地金を買えることになってしまいます。


ところが、この方法が集団投資スキームとならないのは、日本だけなのです。

日本以外の国での純金積立は、個別購入方式のみが現物取引で、全体で購入して持ち分を割り振る方式はファンド(投資信託)とその国でみなされます。

2015年5月28日木曜日

カード手数料の真の負担者②

カード加盟店が10,000円の商品をカード客に売った場合、回収できる代金は5%のカード手数料が差し引かれた9,500円となります。

一方、同じ10,000円の商品を現金客に売ると、10,000円が回収できます。

そうなのです。
同じ値段で売った場合、カード客に掛かるコストを、現金客に転嫁しているのです。


このように、カードと現金で同じ値段である場合には、カード手数料を真に負担するのは現金客になるのです。
ですから、この場合はカードを使わないと損します。

では、カード手数料を代金に上乗せした場合はどうでしょうか?

この場合は、カード手数料の真の負担者はカード客になりますが、カード会社は上乗せを嫌がるので、これがバレると加盟契約が打ち切られかねません。


カード手数料を代金に上乗せするのがダメでも、現金客に割り引きするのは構わない!
というのをガソリンスタンドは上手く使っています。
つまり、表示価格がカードの代金で、現金客は5%引きとかにしているのです。
ガソリンを入れる前に、現金かカードかを聞かれるのは、値段を変えているからです。

また、ヨドバシなど、カードと現金で価格は変わらないが、付くポイント数を変えているところもあります。


以上のように、カード客と現金客で、まったく代金や付随サービスに変わりがない場合には、カード手数料の真の負担者は現金客であることをよく理解しましょう。

カード手数料の真の負担者

カード加盟店において、10,000円の支払いにカードを使った場合、カード会社から加盟店に支払われるのは10,000円ではありません。

一般的な加盟店で5%が差し引かれ9500円が支払われます。
(一部の優良店でも3%で、風俗営業だと7%以上の場合もあります)


このように、カードを使った場合には、利用者は無料で、加盟店が手数料5%を負担するというように表面上はなっています。


但し、これはあくまでも表面的なことで、実際の負担者は異なるのです。


賢明な消費者は、次の二つのことを理解しておくべきです。

①「世の中に只のものはない!」

②「すべての事業コストは、最終的にはすべて消費者に転嫁される」


例えば、送料無料の通信販売があります。
通販会社は、送料というコストを負担しますが、それは当然商品価格に転嫁されます。
ですから、送料無料ではなく、「送料は商品代金に含まれています」というのが正しい表現です。


〇〇ホテル、朝食無料!
という看板を朝見て、プラッと入った人が朝食を只で食べられますか?

宿泊客限定である以上、「朝食代は見た目は無料ですが、宿泊費に転嫁されています」が正確な表記なのです。

宿泊客は駐車場無料や、買い物すれば駐車場無料も同じことです。
ホテルやスーパーなどは駐車場コストを負担していますから、それを宿泊代金や商品代金に転嫁して上乗せするのは当然のことです。

ここで一番の問題は、どういう客がそのコストを負担しているか?
ということなのです。


ホテルの駐車場で考えてみましょう。

まず、駐車場代が宿泊客無料(実際は宿泊代に含まれている)の場合。

車で来た宿泊客は、駐車場代込みの宿泊代金を支払いますが、駐車場を使うという役務提供を受けているのでプラスマイナスはなしです。

一方、車ではない宿泊客は駐車場を使っていないのに、駐車場代込みの宿泊代金を取られます。
これは非常に損なのです。

このように、そのサービスを内包式にすると、そのサービスのコストを真に負担するのは、そのサービスを使わない客となります。


次に、駐車場代が別途請求される場合。
車以外の客は、駐車場代を負担せず、駐車場を使う客が駐車場代を支払います。

サービスを別途料金にすれば、サービスのコストはそれを使う人に転嫁されます。


もうお分かりですね。

クレジットカードを使っても、現金で支払っても、普通は同じ金額です。

つまり、クレジットカードのサービス料は商品代金に内包されているのです


ということは、カード決済手数料5%というコストは、カードを使わない現金客に転嫁されているのです。

2015年5月10日日曜日

ヤミ金どころではない!凄まじい実質金利

マンガや映画・ドラマで有名なトイチのヤミ金萬田銀次郎は、10日で1割(年利率365%)の金利を取る高利貸しです。
また、ヤミ金にはトサン(10日で3割)やトゴ(10日で5割)という高利もあります。


しかしながら、ヤミ金が可愛く思えるぐらいの凄まじい実質金利を取っているところが日本に堂々と存在しています。

それは、カード会社です。

クレジットカードをリボ払いにした場合の金利が高いことや、永遠に金利を貪る仕組みだなどとの批判がネット上には散見されますが、こんなこともこれから述べることに比べれば甘い甘い大甘なことなのです。


クレジットカードを一回払いで利用すると、利用者には金利が掛かりません。
それどころか、ポイントやマイルまで付けてくれます。
無金利後払いでポイント付きという、消費者にとっては夢のような仕組みなのですが、では?カード会社はどうやって利益を得ているのでしょうか?


結論から言いますと、カード会社はカード加盟店という業者側から加盟料という名の決済手数料で儲けています。
そして、その手数料の実質金利が凄まじい利率なのです。


順を追って説明しましょう。

利用者がカード加盟店で10,000円をクレジットカード決済したとしましょう。
お金の流れは、カード会社が加盟店に立て替え払いをし、約一ヶ月後に利用者から銀行引き落としにて回収します。

この立て替え払いを10,000円(100%)していれば、カード会社は完全ボランティアでとっくに潰れているでしょう。


カード会社は、立て替え払いの際に平均的には5%の手数料を差し引いて9,500円を加盟店に支払います。
(かなり優良な加盟店で3%、通信販売や水商売の場合には7%以上の場合もあります)

そして、利用者の銀行口座からは10,000円を回収するのですから差額の500円(5%)が儲けとなります。


私は、長年、カード会社は立て替え払いをしてから一ヶ月後に回収するのだから月利5%を得ているのだと思い込んでいました。
これでも、年利率60%なのですから凄い金利です。(金利や利率と言うと、利息制限法の枠を越えるためにわざわざ加盟料という名の決済手数料としているほどなのですから)


ところが、よくよく考えてみると、カード会社は一ヶ月間も立て替え払いをしていないのです。

利用者が加盟店でクレジットカードを使っても、直ちにカード会社は加盟店に立て替え払いしてくれる訳ではありません!
だいたい、月末締めの翌月末に利用代金の95%が支払われることが多いのです。

つまり、カード会社は立て替え払いをしていないのです。
ということは、月利ではなく日利5%であり、年利率はなんと!1,825%!という凄まじい金利だ!

それどころか、利用者からの回収が先で、加盟店への支払いが後ということもあるでしょう。
そうなると、金利は無限大となります。


私は何も、カード会社が悪いと言っているわけではありません。
ショップや飲食店などが加盟店になるのは、カード客を集客できるからであり、そのコストを負担するのも当然と考えているのですから。

では、一見加盟店が負担しているこの決済手数料というコストは、本当は誰が負担しているのでしょうか?
それについてはまた次回。




2015年4月24日金曜日

金地金は支払手段ではなく、モノである

金地金には代用通貨としての側面がありますが、税法上はモノとして扱われています。

ですから国内取引においては、課税資産として購入時には消費税を支払わなければなりません。

また、海外からの輸入時には課税貨物として税関に消費税を支払わなければなりません。


海外から携帯して持ち込む場合には、金地金1キログラムまでは税関申告不要で消費税が掛からないという説がありますが、これはまったくの誤解となります。


誤解の原因は次のことになります。

「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」
100万円相当額を超える現金・小切手等を携帯して、外国に持ち出す又は外国から持ち込む場合には、税関に「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」の提出が必要です。

申告対象
◎ 次のものの合計額が100万円相当額を超える場合
・ 現金(本邦通貨、外国通貨)
・ 小切手
・ トラベラーズ・チェック、旅行小切手
・ 約束手形
・ 有価証券(株券、国債等)
◎ 金の地金(純度90%以上)の重量が1kgを超える場合



これを見ると、1キログラムを越える金地金は申告しなければならないとあるので1キログラムまでならば申告不要と解釈しても無理は有りません。

さらに、金地金は支払手段(現金や小切手など)と考えてしまい、輸入時においてはモノ扱いされないから消費税が掛からないと解釈されてもおかしくはないでしょう。

しかしながら、よくよく見ると「支払手段の」ではなく「支払手段等の」 となっており、金地金は支払手段と並列されているので「等」に分類されると読み取れます。
そして、等ということは支払手段ではないので、やはり金地金はモノ扱いということになるのです。


モノ扱いということは、他の携帯輸入品(課税貨物)と同じく20万円を越える場合には、携帯品として「携帯品・別送品申告書」において申告をして消費税の支払いが必要となります。


非常にややこしいことなのですが、金地金1キログラムを携帯して輸入する際には支払手段等としての税関申告は不要だが、携帯品としての申告は必要で消費税の納税義務もあるということです


以上のように、税関が出している 「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書の記入例」を見ると、金地金1キログラムまでは持ち運べば申告不要なので消費税が不要と誤解し、悪意がないのに密輸になってしまう恐れがあります。

税関には、こういう誤解が生まれないような表現表示を望みます。

2015年4月23日木曜日

為替レートと物価の関係

 日本は輸入大国で、原材料を含めるとほぼすべての生活を輸入に頼っています。
従って、円高になればデフレ(物価安)となり、円安になればインフレ(物価高)となります。

では、為替レートと物価の関係が完全に比例するのでしょうか?
これを調べたところ、大変興味深いことになりました。

結果からいいますと、約10%円高が進行すると物価は約5%下がっています。また、約10%円安が進行すると物価は約5%上がります。

為替レートの変動量に対して、物価はその半分の変動量になる結果となりました。

何故なのでしょうか?
おそらく、企業や商店が物価の変動量を吸収しているのではと思われます。

円高になってもその分全部は価格を下げずに利益を商店や企業が留保する。

よく、円高還元セールとかいうのがあったが、こんなセール名があること自体が普段から円高差益を還元していない証拠である。

また、円安になったからと言ってその仕入れコストを全部価格に転嫁すると売れなくなるので、半分は商店や企業が泣いているのだろう。

こう考えると、日本の小売業などは円高のほうが儲かるのでしょう。

租税公平主義

 租税法律主義と並んで税法の精神の根幹にあるのが、租税公平主義の考え方です。

租税法律主義が法律に則った厳格な課税を目的とする考えなのに対して、租税公平主義はその名の通り公平性を重視しています。


以前、節税と租税回避行為の違いを説明しましたが、この区別はそもそも租税公平主義というものを論拠としているのです。

節税とは、一般に知られている適法な会計処理によって所得を圧縮して納税を少なくする事です。

一方、租税回避行為とは、1つ1つの会計処理は適法であるが、それらを「一般的に知られていない奇抜な方法で」組み合わせることなどにより、所得を圧縮して納税を少なくする事です。

租税回避行為を認めると、そんな方法を知らない人との公平性を保てない。
だから、例え1つ1つの会計処理は適法であるが否認する。
というような租税公平主義の観点から、税務調査などにおいては否認されてきたのです。


確かに、租税公平主義の観点から租税回避行為を否認することは適正かもしれません。
しかしながら、租税法律主義の観点からは租税回避行為は適法となります。

前述した武富士裁判のように、法廷で争えばほとんどの租税回避行為は適法とされるでしょう。


また、ネット社会となった現在において、どれだけ奇抜なアイデアも直ちに他人に知られてしまう現実があります。
この情報化社会においては、知らないことが悪いとされるので、租税回避行為を租税公平主義の観点から否認すること自体が合理性を欠くのかもしれません。



こういうことを書くと、私が租税回避行為を推奨したりしていると思われそうだが、それはまったく的外れです。


私自身は、納税を沢山する派であり、そういうことはしない主義です。


税金は所得100に対して40までであり、四千万円納税すれば堂々と表に出せるお金を六千万円残せるのです
1億円残したければ、1億円稼いで隠すのではなく、1億7千万円稼いで七千万円納税すればいいのです。
この考えでやって来たから、銀行融資を受けられるし、隠しているものがないから堂々と生きられるのだと思います。

2015年4月17日金曜日

租税法律主義②

租税法律主義と言う考え方を理解する上で重要な武富士事件を振り返っておきたい。

概要は次のようなものです。


武富士の会長が香港在住の長男(非居住者)に外国会社の株式(国外財産)約1,600億円分を贈与しました。


当時の税法の規定においては、「非居住者に対する国外財産の贈与については贈与税を課さない」となっていましたので、当然非課税として申告していませんでした。

これに対して税務当局は、実態のない香港移住を用いた贈与税の租税回避スキームだ!と激怒しました。

納税義務者の武富士長男は、修正申告に応じるはずはなく、税務当局は約1,300億円を追徴課税する更正処分を行いましたが、これに武富士側はまっこうから異を唱えて税務裁判となりました。


最高裁まで争われたこの税務裁判において最高裁は、実に法治国家として適正な判決を下し、その判決文の最後において租税法律主義の在り方を明確に示しました。


要約すると以下のようになります。


「一般的な法感情の観点から結論だけをみる限りでは,違和感も生じないではない。
しかし,そうであるからといって,個別否認規定がないにもかかわらず,この租税回避スキームを否認することには,やはり大きな困難を覚えざるを得ない。」

「納税は国民に義務を課するものであるところからして,この租税法律主義の下で課税要件は明確なものでなければならず,これを規定する条文は厳格な解釈が要求されるのである。」

明確な根拠が認められないのに,安易に拡張解釈,類推解釈,権利濫用法理の適用などの特別の法解釈や特別の事実認定を行って,租税回避の否認をして課税することは許されないというべきである。そして,厳格な法条の解釈が求められる以上,解釈論にはおのずから限界があり,法解釈によっては不当な結論が不可避であるならば,立法によって解決を図るのが筋であって(現に,その後,平成12年の租税特別措置法の改正によって立法で決着が付けられた。),裁判所としては,立法の領域にまで踏み込むことはできない。

後年の新たな立法を遡及して適用して不利な義務を課すことも許されない。結局,租税法律主義という憲法上の要請の下,法廷意見の結論は,一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれども,やむを得ないところである。」


この確定判決がもたらしたものは非常に大きいものとなりました。

課税するには法根拠の存在が不可欠であり、拡大解釈は認められないということから、現在の税法上適法なものを否認することは出来なくなったのです。

また、法に穴があるならば法改正すればいいのだが、その新しい法律を過去に遡って適用することは許されないとも明確に述べられています。

さらに、一旦課税した約1300億円を返すにあたり、その間の利子(なんと、約400億円!)を国民の血税で支払うことになったことに対して、税務当局への大きな批判が巻き起こったことは言うまでもありません。


この判決以後、税法の要件を満たしていないものに感情的な課税をすることがなく、租税法律主義の精神が守られるようになったことは、法治国家として大きな前進だと思います。


なお、判決文にもありますように、非居住者に対する国外財産の贈与に対しては、その後の税法改正によって現在は課税になっています。

2015年4月16日木曜日

租税法律主義

消費税法という科目を勉強していてつくづく思うことがあります。

免税事業者制度や簡易課税制度があるために、これを何とか工夫して使用することで課税を逃れてきた事業者と、その穴を塞ぐために改正に改正を重ねられたいたちごっこの歴史のせいで、非常に複雑化しています。

もう、免税事業者制度や簡易課税事業者制度自体を無くせばすっきりするのにと感じているのは私だけではないでしょう。

また、日本は法治国家なので法の範疇で様々な工夫をすることが許されています。
それは、節税策においてもです。

従って、現在の税法において課税できないことに新たに課税するには法改正が必要なのです。
これが、法律に基づいて課税するという租税法律主義と呼ばれる考え方の基本です。

そして、法改正がされた場合に適用されるのは、あくまでも法の施行時から未来の期間であり、過去に遡って適用することは不可能なのです。

法が遡って適用されたらそこはもはや法治国家とは言えません。
例えば、後部座席シートベルト着用が義務付けられる前にシートベルトをしていなかったとして、違反を認定されたらどうでしょうか?
そんな国にはもはや住めないですね。

属地主義と属人主義②

日本の税制は、属地主義から属人主義に向かうだろうと予測されています。

属人主義にすると、日本国籍である限りは、非居住者になっても日本で課税できることになるからでしょう。
こうすることで、富裕層が香港・シンガポールなどに移住する意味を無くそうとして行くということです。

日本の富裕層は、そもそもこの日本のおかげで富裕層になれたのですから、日本に納税義務が続くというこの方向性には私は賛成です。

しかしながら、現在は属地主義です。
ですから、将来属人主義の税制に変わったとしても、その時からその制度は適用されるのであり、遡ることは決してないのです。

属地主義と属人主義

 日本の法律は、基本的に属地主義の立場を取っています。

刑法などは、原則として国内犯を処罰するとしています。
日本国内で行われた犯罪について法を適用するというのが属地主義の考え方です。


一方、刑法などでは日本人が国外で犯した罪にも刑罰を適用する「国外犯処罰規定」というものが例外的に定められています。
これは、属人主義の考え方の適用です。


しかしながら、あくまでも属人主義は例外的な考え方であり、原則は属地主義なのです。


では、税法はどうでしょうか。
税法は、日本に限らずほとんどの国が完全に属地主義の立場を取っています


属人主義は、納税の基準を人に求める考え方で、日本以外に居住していても、国籍が日本であれば日本に納税となります。


一方、属地主義は、納税の基準を居住している場所に求める考え方で、日本国籍であっても日本以外に居住していれば(非居住者という)そこに納税となります。
(ただし、非居住者が日本で得た所得には源泉所得税20%は掛かります)


国籍ではなくその居住地(法人の場合には本店又は主たる事務所の所在地)が何処にあるかが重要となります。

記憶に新しい武富士の相続騒動も、相続人が非居住者ゆえに起きた騒動でした。

また、海外にある外国法人が得た所得からはその本店所在地のある国に納税されるというのが原則となります。

2015年4月13日月曜日

やはり不起訴、あとは国税の出番か

みずほ銀行の行員が行った巨額詐欺事件。
前にも書いたが、やはり予想通りに展開しているようだ。

元行員(事件当時はもちろん現役の行員)は起訴されたが、一緒に逮捕された二人の勧誘役は処分保留で釈放されました。

やはり、詐欺と言うのは立証が難しいようです。
最初からだます意図でないと詐欺罪は成立しないのです。
自分たちも信じ込んでいたという主張を覆すことは困難だと検察は判断したのでしょう。


確かに投資詐欺は、ほんの一握りの確信犯(ワル)に信じ込んだアホが群がって広がることが多い。
そして、アホたちも大抵は自分のお金もやられているので、加害者兼被害者という側面もあるのでしょう。


しかしながら、こういう投資詐欺に関わった人間たちはほぼすべての人が「脱税」という罪を犯しているのです。

勧誘役が行員から得た手数料はもちろん、被害者が受け取っていた配当もおそらくは収入(又は収益)として誰一人申告して納税していないでしょう。

中には、億単位の手数料を得た勧誘役もいるようです。

詐欺はだます意図の立証が困難だが、脱税はそうではないので、国税庁が検察と組んで立件してくれることを我々納税者は期待しています。

2015年4月3日金曜日

預金封鎖②


 今回は、前回と逆のパターンを考えてみましょう。

アルゼンチンの人が、日本の金融機関に口座を持っていた場合です。


アルゼンチンが財政破綻して預金封鎖が発令されたとき、この日本にあるアルゼンチンの人の口座はどうなりますか?

どうもなりませんよね。

そして、これは
「たとえ、アルゼンチン政府がこの口座の存在を知っていたとしても」
同じなのです。


日本の金融機関が、破綻したアルゼンチン政府の要請に対してこの人の口座だけを封鎖すると思いますか?

前回書いたように、預金封鎖は金融機関全体に行われるのであって、口座単位でやるものではないのです。


海外の金融機関に預けたお金は、日本が万が一財政破綻して預金封鎖が発令されたとしても、封鎖されることはありません。
その金融機関が日本の国家権力外にあるからです。

そして、その効力は例えその存在を日本に知られていても損なわれないのです。

このことを理解していれば、海外にある口座やお金を隠すことが、如何に馬鹿馬鹿しいことであることが分かるでしょう。

そもそも、海外にある時価5千万円以上の資産はその存在を申告する義務があり、隠すこと自体が危ないことなのです。

預金封鎖

最近、テレビでも預金封鎖が取り上げられているようです。

国家の財政が破綻した場合に、国民の資産で国家の損失を穴埋めするためにあらゆる金融機関から資産を出せなくするのが預金封鎖です。
実際に我が国では戦後間もなく実施され、90%が没収されたようです。

預金封鎖というと円預金だけが封鎖されるように思いますが、封鎖されるのは金融機関のものすべてです。
銀行の円預金・外貨預金・投資信託・貸金庫の中のもの、証券会社の株式・債券・投資信託、保険会社の保険・年金など。

また、預金封鎖は国家破産した国全体で行われ、金融機関ごとに全部が封鎖されます。
そこにある外国人の口座も一緒に封鎖されるのです。

このように、預金封鎖は口座単位で行われるのではなく、金融機関単位で行われるのです。


では、あなたがアルゼンチンの金融機関に資産を預けていた場合を考えてみましょう。

もし、アルゼンチンが財政破綻して預金封鎖が発令されれば、あなたの口座も封鎖されて没収の憂き目にあうことでしょう。
アルゼンチン国民以外の口座だから封鎖されないなどどということはあり得ません。


もし逆に、日本が財政破綻して預金封鎖が発令されたときはどうなるのでしょうか?
アルゼンチンの金融機関が日本政府の依頼を受けてあなたの口座だけを封鎖するなどということはあり得ないでしょう。

2015年3月27日金曜日

果たして本当に勧誘役を詐欺で立件できるか

 みずほ銀行本店応接室を舞台にした現役行員が行った詐欺事件。

前にもブログに書きましたが、私もこの投資詐欺の勧誘を四年ほど前に受けていました。


中々最もらしいストーリーだったのですが、次の2つが引っ掛かりましたので乗りませんでした。



一番の問題は、みずほ銀行とではなくその行員との金銭消費貸借になっていたことです。
しかも、元金も利金も振り込みではなく現金での受け渡しといういかがわしさ。
これは、銀行にではなく銀行員に金を預けるのであり、明らかに表に出せない裏金を運用すると偽って騙しとる計画だなと感じました。
(被害総額200億円とも言われたこの事件ですが、最近の報道では数十億円になっているのは表に出せないお金をやられ人が多いのではないかと推察しています)



 銀行員が個人受けするのは珍しいですが、相場がいいときに証券マンが個人受けしてその後の暴落で行方不明になるという事件は今までもありました。
また、保険屋が顧客に一時払いさせて個人受けし、保険証券を偽造するような事件も結構ありました。


金融機関自体は詐欺をしませんので、金融機関にお金を預けるのは安全です。
しかしながら、金融機関の人に預けるのは、最初から悪意を感じるので最も危険かもしれません。


金融機関特に銀行を盲信している日本人がほとんどなので、本店の応接室でしかも恰幅のいい肩書きのある現役行員による話を信じたのも無理はないでしょう。
しかしながら、あくまでもこの話は行員個人に金を貸すという契約だったのです。


それから、もう1つの乗らなかった理由は勧誘役の存在です。
私の時に提示されたのは、預ける元本に対して月に2%の利率でした。
その横でニッコリ微笑む勧誘役のA女史。

これは、マージンを入れたらもっと利率は高くなるな。と思いました。
後から調べると案の定、行員から勧誘役に出ていたのは月に8%だったようです。
そこから勧誘役が抜いた後の利率が、見込み客に提示されていたのでしょう。


月に8%は年に約100%であり、これは成り立たないなと思いました。


今回の事件。ある意味画期的なのは首謀者の元行員(当時はもちろん現役)だけでなく、勧誘役二人も逮捕されていることです。

他にも大口の勧誘役は複数いるようで、そこにも捜査の手が伸びているようです。


ただ、勧誘役を詐欺で立件出来るかどうかということには疑問を感じています。
何故ならば、詐欺罪が成立するためには「最初から騙す意図だった」ことを立証しなければならないからです。

善意だったが結果としてダメだったというのは詐欺にはなりません
それが詐欺ならば、倒産した会社や不渡りを出した経営者は全員詐欺罪になってしまいます。
それどころか、「君を幸せにするよ」と言ったのに離婚した人も詐欺罪となり刑務所が満員になってしまうでしょう。


行員本人は、当然すべてのからくりを企んで最初から騙す意図でやったことは明白です。

しかしながら、勧誘役をしていた人間は本当の話だと信じこんでいた可能性もある
もちろん、確信犯もいるでしょうが。


この区別は難しいかもしれませんが、勧誘役をした人間自身が自分のお金を預けていたか否かで判断できるのではないだろうか。
本当に信じていたならば、他人を勧誘する前に自分がやる筈ですからね。


そう言えば、私を勧誘したA女史は、自分も億単位で預けて毎月配当を貰っていると言ってたので、少なくとも彼女は確信犯ではなかったのだろう。


いずれにせよ、勧誘役を確信犯として詐欺で立件を本当に出来るのか?
それとも、不起訴になるのか?

私は、この事件はここに注目しています。

2015年3月25日水曜日

金利と利率と利息と利子と利回り

金利と利率と利息と利子と利回りの五つをキチンと対比させて説明できる人は、アシカとオットセイとアザラシとトドとセイウチを区別できるぐらい少ないでしょう。

まず、金利と利率はほぼ同じで、これは%を意味します。
また、利息と利子もほぼ同じで、これは金額を表します。

100万円を預金して、金利または利率が5%ならば、利息または利子は5万円ということになります。
先日つり革広告で「金利0円」というのを見ましたが、これは厳密に言うと誤りで、正しい表現は利息0円または金利0%でしょう。

金利と利率は、預金は金利で債券は利率という説もありますが、厳密には区別されずに使われています。

利息と利子は、借りたほうから見ると利息で貸したほうから見ると利子と言う説がありますが、まったく逆の説もあり、最近は明確な区別はありません。
敢えて言うならば、利息は口語的で利子は文語的ということかもしれません。
利子所得とは言いますが、利息所得とは言いませんので、利子のほうが固い言葉なのでしょう。

では、金利や利率と利回りはどう違うのでしょうか?

金利や利率が予定を表すのに対し、利回りは結果を示すと覚えておけば良いでしょう。
例えば、100万円を利率5%で5年間複利運用したとしましょう。

5年後には、1,000,000円×1.05×1.05×1.05×1.05×1.05=1,276,281円となります。
5年間で得た利息合計は276,281円で、年あたり55,256円なので、利回りは5.5256%と言うことになります。

預金の場合には元本が変動しませんので、利率を複利計算して単利に置き換えたものが利回りとなります。

債券の場合はもう少し複雑になります。
額面100万円、クーポン利率5%の債券を5年間保有後に110万円で売却した際の利回りを考えてみましょう。
5年間で得たクーポン利息が25万円、そして売却益が10万円ですからトータルリターンは35万円。
これを100万円で割ると、利回りは7%ということになるのです。

2015年3月9日月曜日

新刊が出来ました

しばらくブログを更新していなかったのは、本を執筆していたからです。

題名は「あなたに成功と豊かさをもたらす営業の極意」

内容は、コンサル型営業のノウハウ書となります。

コンサル型営業というのは、見込み客が抱える様々な問題の解決策として自社商品を提案するという営業スタイルのことです。

健康上や美容上の問題の解決策として、健康食品や化粧品や美容機器などを販売する方。
保険の見直しや資産運用などお金にまつわる相談ごとに応じるファイナンシャルプランニング業に携わる方。
副収入を得られる方法として、連鎖販売やアフィリエイトを提案する方。

このような、問題解決業ともいうべき営業に関わる方々にとっては非常に興味深い内容になっておりますので、読んで感想をお聞かせ願います。

2015年1月13日火曜日

是々非々で行こう

 ある人の言うことや行うことが絶対に正しいなどということは、それこそ絶対にありません。


また逆に、この人の言うことや行うことはすべて間違いということもありません。


誰が言ったから正しいとか間違いだとかではなく、一つ一つのことを別個に捉えて検証し、正か誤かを判断するという考え方が「是々非々」というものです。


日本人に欠けているのは、この是々非々の精神であると一刀両断しておきたい。

よく詐欺などに騙された人が
「信頼しているお医者様から紹介されたからてっきり……」
とか
「偉い大学教授の大先生もされていたので……」
などと言うのがよい例です。


とかく日本人は、一つの分野で優れていると他のことも何でもわかるや何でも出来ると思い込んでしまいがちですが、そんなことはあり得ないのです。


道を極めたプロフェッショナルほど、専門以外は素人以下なのです。

特に、金融教育をしていない我が国においては、どんなに偉い博士も社長も幼稚園児以下の金融知識と考えて間違いないでしょう。


萬田銀次郎がこんなことを言っていますが、つくづく真理だと思います。
「医者は泥棒を捕まえることは出来ないし、警官は病気を治せない!この事を分かっていれば詐欺にはひっかからんのだ」