2015年9月10日木曜日

税金と思って支払ったものが国庫に届かない制度は異常②

以前にも書いたが、消費税が国庫に届かない制度の改訂を強く願います。

消費税率のアップ反対よりも、この理不尽な制度の改訂をすることのほうがよっぽど重要なのですが、国民の99.9%が気づいていないと思われます。

国内取引において、消費税の納税義務者は「課税事業者」に限定されています。
逆の言い方をすると、免税事業者と消費者は他人から預かった消費税を納税する義務が免除されているのです。

この制度のせいで、あなたが消費税として支払ったお金が国庫に届かないことが結構生じることとなります。

例えば、免税事業者からあなたが何かの商品を買ったとします。
うちは免税事業者だから消費税を預かりませんとわざわざ断る業者は皆無ですので、当然のように消費税を預かります。
免税事業者は納税義務がないので、あなたが税金と思って支払ったお金は国に納税されずにその業者の利益に化けるのです。


また、課税事業者からモノやサービスを買っても、消費税が国庫に届かないこともあります。
中古車をあなたが課税事業者の車屋から300万円で購入したとしましょう。
24万円の消費税を、高いなと思いつつも税金だからしょうがないと思いあなたは支払います。

その中古車を270万円で仕入れていたとしましょう。
仕入れに係る消費税は21万6千円で、これは仕入れ税額控除の対象となり、差額の2万4千円をその車屋は納税します。

その仕入れを課税事業者からしていれば、転嫁された消費税はそこの納税義務となるのでいいのですが、消費者から買い取っていた場合はどうでしょうか?
(消費者が車を売却する際には、税込み価格(この場合291万6千円)で買い取られるため、消費税を預かるという自覚はないと思いますが、実際には間違いなく預かっているのです)

消費税を預かった消費者には納税義務がないため、あなたが消費税と思って支払った24万円のほとんどが国庫に届かないのです。


このように、課税事業者のみが納税義務のある今の制度では、消費税が税金として国に収められない例が数え切れなくあります。

このことを知ったら、消費税を預かったすべての者に、納税義務があるようにしないとならないと感じるのは私だけでしょうか?


税金と思って支払ったものが国庫に届かない制度は異常

10月施行の消費税改正は、悪法極まれりと感じています。

どのような改正(改悪)かをまず説明しましょう。
国境を越えた役務の提供の国内取引判定は、今までは役務の提供をする者が国内かどうかにより判定していました。

ですから、国外の事業者から画像・映像・音声などをダウンロードするサービスは国外取引として消費税の課税対象外でした。

今回の改正は、国境を越えた役務の提供のうち、電気通信利用役務の提供(インターネットを介した音楽配信など)における国内取引判定を、役務の提供を受ける者が国内かどうかに変えたのです。

このことにより、10月以後は、国外業者から画像・映像・音声などをダウンロードするサービスは国内取引となり、消費税の課税対象になります。

これは、国内事業者との公平性の観点から行われたのでしょうが、これには大きな問題があります。

それは、サービスを使った消費者が消費税として支払うお金が税金として国庫に届かないことが予測されるからです。
国外事業者が預かった消費税を日本に納税するとは思えないのに加えて、国外事業者は基準期間(二期前)の課税売上高が1千万円以下であるため、そもそも約二年間は納税義務がないのです。

またひとつ、税金だからしょうがないと思って消費者が支払うお金が、税金として国庫には届かずに業者の利益に化けるという制度を作り出してしまうのは不合理に思えて仕方ありません。

こういう時は動かないに限る

台風18号は去りましたが、市場の台風はまだ収まらないようです。

日経平均が1日に500円も千円も動くような、まさに賭場と化しています。
短期の値幅取りをもくろむような投資家には面白いかもしれませんが、私のような長期投資家は買いも売りも行わない静観を決め込んでいます。

早く、通常の値幅に戻ることを待っています。