2016年8月26日金曜日

転売業者は悪くない

 人気アーティストのコンサートチケットなどは、大変競争率が高くプラチナチケット化しています。

そこで、これを買い占めてネットで転売している業者が存在し、業者が不当な利益を得ているとの非難が集まっています。


当のアーティストやプロモーターも、これを批判し、規制する方向性を打ち出しています。
こんなことが罷り通れば、本当にコンサートに行きたいファンが行けないとか、ファンが不当に高額なコストを負担させられているなどというのが反対理由のようだ。


プロモーターは、本来自分たちに帰属すべき利益が転売業者に流れることに対するジェラシーが本音だろう。


まあそれはさておき、私は根本的に転売業者に責任転嫁するのは間違いだと思います。


この問題の本質は、人気イベントのチケット価格が適正価格ではないことなのです。

例えば、嵐のコンサートツアーチケットが一枚一万円で、キャパシティ5万人に対して、行きたいファンが30万人いたとしましょう。
これは、競争率が6倍であり、行きたいけれども行けないファンが25万人もいるという状況を意味します。

しかしながら、ここで重要なことは、嵐のコンサートに一万円ならば行きたいファンが30万人いるのだというのが正確な状況ということなのです。

もし、三万円ならばどうだろうか?
五万円でも同じ人数が行きたいと思うのだろうか?
十万円出してでも行きたいというファンがそんなにいるだろうか?


このように、価格と価値を天秤にかけていけば、5万人というキャパシティにちょうどピッタリの適正価格というものがあるはずなのです。


えっ、どのようにすればいいかって?
そんなものは市場原理で決まるような販売方法にすれば良いだけです。


具体的には、一月間などの期間を設けて、ファンが「希望購入価格と希望購入枚数」を申し込むブックビルディング方式の入札を行えば良いのです。
こうして入札期間を終えたら、チケット売り出し価格を決定できます。
仮に、七万円以上の申し込みが5万人いたならば、チケットの売り出し価格を七万円とし、七万円以上での申し込み者に一律七万円で割り当てるということになります。


ブックビルディング方式の入札ならば、結果的に一律料金となるため、異常に高い価格での購入もなくなります。


チケットに限らず、中古品の売買は、売りたい人と買いたい人の市場バランスによって適正価格が形成されます。

それに比べて、新品は売る側が勝手に価格を決めるから適正価格にならないのです


フェラーリの限定車であるラ・フェラーリは世界で399台が限定販売され、日本における正規ディーラー価格は約1億8千万円です。
二億近い価格にもかかわらず、大人気で一瞬にして売り切れました。

今、並行輸入車などは四億円以上で取引されています。

このように、新車よりも中古車のほうが高くなるのは、新車ディーラー価格が適正価格ではないからなのです。
もし、ディーラーが、中古業者やディーラー車を手に入れた客が不当に儲けているなどと批判したらどう感じますか?

私は、アホちゃうかとしか思いません。


限定数と購入希望者数が一致する適正価格で最初から売れば良いのです。


何時間も待つ行列ができるラーメン屋なども、何故適正価格で売らないのか?
私には理解できません。
行列が出来るのは、価値に対して価格が安すぎるからなのです。

もちろん、価格を上げすぎたら客は減りすぎるでしょうが、ちょうど良い客数になる適正価格まで値上げすれば良いのです。


その点、アパホテルは偉い。
同じ部屋を、閑散期には数千円、繁忙期には数万円で売るという、市場原理に沿った適正価格を付けているからです。

わずか15平米程度の狭いシングルルームが一泊四万円超なんてボッタクリや。
という批判をする人がいますが、それでも売れるということは、その日はその価格が適正価格だったという証拠であり、それこそ難癖です。