2017年1月30日月曜日

ポンジスキーム

ポンジ・スキームとは、詐欺の一種で、「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののこと。
と定義づけられています。

チャールズ・ポンジという人物が、最初にこの形態の詐欺を行ったのでこの名称が付けられ、ポンジスキームの最大の特徴は「蛸足配当」にあります。
出資された資金が運用されて、その運用益から配当されるのが「正当な配当」。
一方、蛸足配当は、タコが自分の足をかじる様に自分の(あるいは他の出資者の)お金が運用には回らずにそのまま配当されるというものです。

まず、次のような小規模なポンジスキームの手口を見ていきましょう。
ミニポンジ詐欺師から「私に100万円を預ければ、毎月3%3万円を配当しますよ」という誘いに乗った人が100万円を出資します。
詐欺師は約束通り毎月3万円を配当します。(昔は振込が多かったが、最近は配当所得が税務署にばれないように手渡ししますよというのが主流のようです)
毎月配当をもらった人はすっかり信じてしまいますが、もちろんこれは運用などされていない蛸足配当です。
月に3%ですから33カ月間は預かったお金から捻出できるため、嘘がばれません。
その間に信用させて「こんなに配当あるなら、私さらに1千万円預けるわ」と増資させられれば詐欺師の勝ちです。
その瞬間に詐欺師がドロンするのは言うまでもありません。

本格的なポンジスキームは、これに出資者に新たな出資者を紹介させるという手口が加わります。
「お友達を紹介してくれれば、その人の出資金額に対して毎月1%配当しますよ。」という悪魔のささやきに乗って、次々と新たな出資金が流入すれば、蛸足配当が長続きできるようになります。
しかしながら、この紹介料が多段階になっていき、蛸足配当利回りがどんどん高くなるためいずれは破綻します。

ひと昔前に流行ったポンジスキーム121ファンド(FX投資をうたったもの)やスピーシー(ブックメーカーアービトラージ)などは、出資者への配当が月2~3%で紹介料を合計すると月10%の利回りが必要でした。
本当は全く運用せず、新たな出資金を配当や紹介料に回す蛸足配当自転車操業のため、数年で破綻しています。

最近はDの付くポンジスキームが多く、数年前にマレーシアカジノを舞台にしたものは配当利回りが以前の倍ぐらいをうたったため1年程度で破綻しました。
最新ポンジは月になんと33%などをうたっているため、破綻スピードもより速くなるでしょう。



ポンジスキームかどうかを見分けるポイントは、その胴元が新たな出資金以外に収益を得ているか否か?にあります。

例えば、太陽光ファンドに出資する話ならば、そのファンドが太陽光売電収入を得ているか否か、
不動産投資ファンドに出資する話ならば家賃収入を得ているか否かということです。

ポンジスキームは、出資で集めたお金を胴元が何かに投資して運用しているふりをしているだけで実際には運用などしていませんので出資金以外には獲得するお金はありません。

まっとうなファンドなどは、出資者以外から運用による収益をきちんと得ているのです。
ですから、もし投資話があなたに来たならば、まず行うことは一つ。
その胴元が、集めた資金を投資している運用から、継続的反復的にかつその規模に見合う収益を得ているか否かのエビデンスを出させることです。
(巧妙な詐欺においては、少しだけ投資して一時的に微々たる収益を得る可能性がありますから、
この継続的反復的かつ規模に見合うという観点は重要です)

もし、胴元が継続的反復的かつ規模に見合う収益を、うたっている投資から実際に得ていればポンジスキームの疑いは晴れるでしょう。

しかしながら、そのエビデンスを開示しないのであれば、それはポンジスキームである可能性が100%に限りなく近いため、すぐに避難しましょう。
君子、危うきに近寄らず。