2018年4月23日月曜日

詐欺は進化せず、退化している

 一昔前と比べると、
最近の投資詐欺は、論理破綻(論理がないものも多い)かつ、当初からポンジスキーム設計
となっています。

同じブックメーカーのギャンブルを題材とした、スピーシーとD9を比べてみましょう。

スピーシーには論理がありました。アービトラージ(裁定取引)で、歪みによる鞘を取りにいくという運用技法です。
ギャンブルは、オッズに歪みが生じ易い。例えば、東京における阪神巨人戦のオッズと大阪における阪神巨人戦のオッズは異なり易い。何故なら、大阪では阪神ファンの予想ではなく願望が入るからです。
そこで、大阪では巨人にベット(賭け)し、東京では阪神にベットすれば、どちらが勝っても鞘が抜けます。
これは例であり、実際には異なるブックメーカーにおける世界のスポーツのオッズの歪みを利用して、鞘取りするというものです。

この様に、スピーシーには最もらしい理論があり、実際に小規模であればスポーツアービトラージは鞘抜きが可能です
つまり、スピーシーは当初はうたった運用をしていたと推察されています。
しかしながら、トレードには適正規模というのがあります。
どんな最強の運用ロジックも、運用資金が大きくなり過ぎると通用しなくなるのです。
自己のベットで、歪みが取れてしまうからです。
これは、FX(外貨証拠金取引)などでも同じで、小規模資金なら勝てるロジックでも、大規模資金になると、通用しなくなるのです。自己の売り買いで相場が変わってしまうという事になるからです。

私が、トレードをうたって金集めするものに手を出さない理由はココにもあります。


話を元に戻しましょう。
スピーシーは、予想以上にヒットし、数十億のお金が一気に集まりました。
こうなると、最早ロジックは通用せず、それでも決まった配当は出さないとならない。
「えーい!もっと集めちゃえー」と、ここからは後から投資した人のお金を配当に回すポンジスキームに変わって行ったのだと思われます。
そして、数年後には数百億円集まった後に破綻してしまいました。
配当が月2%(紹介料入れると8%)程度と、最近の詐欺に比べると地味なため、数年間ポンジスキームがもったものと考えられます。


一方、最近の投資詐欺の代表D9。
D9は、ブックメーカーで百戦百勝。1日になんと10%の運用益を出せる!ここから、投資家には1%を配当する。(残りの半分ぐらいは紹介料として勧誘者達に分配される報酬プログラムがあった)
というものです。

そこには、論理はありません!
これに引っかかっ人は、誰一人として「どうやったら勝てるのだ?どんな方法で賭けてるのか?」との疑問を持たなかったのでしょう。
こんな運用は出来る筈はないので、D9は当初からポンジスキーム設計なのは言うまでもありません。
また、1日1%(月に30%)という超高利回り(ここから、High Yield Investment Program パイプとも呼ばれる)のため、
僅か数か月でポンジスキームが破綻してしまいました。


この様に、最近の投資詐欺は、論理破綻(又はない)、かつ、最初からポンジスキーム設計です。

こんなのに引っかかるのは、世界中で日本人だけです。

投資詐欺が退化したのではなく、日本人が退化しているのでしょう。

2018年4月1日日曜日

金の密輸を根絶する方法

最近海外から帰ってくると、税関での「金の密輸取り締まり」という文言が目につくようになりました。
消費税率が8%に引き上げられた頃から金の密輸は増え続け、今後10%になれば益々動機が大きくなるでしょう。

そもそも、こんな「消費税の脱税行為」にモチベーションが掛かるのは日本だけなのです。
海外では、金は支払手段又はそれに準ずる存在として、金取引には消費税が課されません
。金をモノ扱いして消費税の課税取引にしているのは日本ぐらいなのです。
この差があるため、消費税非課税の海外で金を買って密輸入し、日本で売れば消費税をせしめることが出来る!と考える輩が出てくるのです。

海外で購入した金を日本に持ち込む際には、税関で輸入に係る消費税を納める必要があるのですが、ここを隠して通過するというのが「金の密輸」です。

これを根絶するには次の2つの方法があります。
①海外に習って、日本も金取引を消費税非課税にする。
こうすれば、密輸して日本で売っても消費税を得られません。
これは消費税法を改正すれば済むことなのですが、過去に国内で消費税を課された金を転売した際には消費税を還付しなければならないなどの公平性を保つ処置が必要となります

②金の買い取り業者にはリバースチャージを課す。
通常、消費税は売った側が預かって納税するという方式です。
これに対して、買った側が代金のみを相手に支払い、消費税は買った側が直接納税するという方式が消費税のリバースチャージです。
これを実施しても、密輸者は消費税は得られませんね。
もちろん、この実施についても、国内で購入した金については購入時に消費税を還付する制度は必要となります。

以上のように消費税法を改正して、①②のいずれかを行えば、金の密輸は完全になくなります。


101は、1%の保険が付加されているのではありません

オフショアの変額年金で、死亡時には受取人に保険金が支払われるタイプは変額年金保険であり、101と呼ばれています。

何故、101と呼ばれるかというと死亡時には時価総額の101%が保険金として支払われるからです。

これを以って保険金たったの1%しか付いていないから、これは保険商品とは言い難いのではないか?
などと述べている方がいますが、
この発言は、
オフショア年金の仕組み、いや、保険商品の仕組みを全く理解していない人の発言ですね。


保険金はたったの1%ではないですよ。
例えば、積立を続けていて時価総額が5000万円(話を分かりやすくするために円換算)としましょう。

この時点で、解約して現金を受け取れば時価総額5000万円を受け取れますか
受け取れないですよね?
何故ならば、時価総額のうち初期口座の部分には多大な解約ペナルティー(早期解約手数料)が課されるからです。
仮に、その解約手数料が2000万円だとしましょう。
そうすると、解約返戻金は3000万円となります。

もし、保険機能が付いていないCRというタイプの場合には、死亡時にはプランのまま相続されます。
そして、それを現金化しようとすれば、当然に解約扱いになるため、受け取り現金は3000万円となるのです。

一方、101の場合には、解約返戻金の101%ではなく、時価総額の101%が支払われるのです。
この場合には、5500万円が支払われることとなります。

どうですか?
保険金はたったの1%ですか?
違いますよね。
支払われる金額と解約返戻金の差額、2500万円が保険金部分ですよね。

このように、101は死亡時には大変お得である反面、
完全なる保険商品であり、保険業法186条には抵触していると言えるでしょう。

101は保険業法186条に抵触するのではないか?
という指摘を受け入れて、RL360は101を取りやめてCRに変更したのです。
また、FTライフは、日本居住者の加入受け入れを終了することになるとのことです。